全社横断での業務プロセス刷新に向けて新基幹システムを構築~『 x-fit』連携版を導入しスマートフォン、タブレットの業務利用を実現~

伊藤忠グループの住宅メーカーで、注文住宅事業、法人のお客様向けのハウスビルド事業、マンション・戸建等のリモデリング事業を手がけるイトーピアホーム。顧客のニーズに応じて設計・施工・アフターメンテナンスまで一貫したサービスを提供して快適空間を創造し、高品質な住まいを提供するその提案力と丁寧な施工は、顧客のみならず業界全体からも高い評価を受けている。

イトーピアホームでは、2013年11月に基幹システムを新たに稼働させた。新たなシステムにはタブレット対応機能も組み込まれ、現場での情報更新や顧客への提案業務などに活用されている。全社的な情報の一元化による生産性や顧客満足度の向上、マネジメントの強化を目指す同社の事例を紹介する。

部門横断の精鋭チームによる新基幹システムの
 構築プロジェクトがスタート

2011年、全社課題を把握するための経営改善アンケートを実施した。その結果、システムについても、個別システム林立による非効率な情報連携や情報活用、老朽化システムに対する機能不足や将来的な保守業務の不安などの意見が寄せられた。またある営業社員からは、「他の営業メンバーが担当する物件情報や施工状況が外出先からでも地図上で表示された物件と連携して分かるようになれば、お客様との商談時に情報を確認し、施工現場へお客様を見学にお連れできるので、そのようなシステムを作ってほしい」等の意見があり、アンケート結果には経営層も強い関心を示した。

そして2012年4月、全社的に基幹システムを刷新・統合するという一大プロジェクトに本格着手したのである。プロジェクトチームメンバーには、新設したシステム企画室のほか、営業、リモデリング事業、建築、積算購買、経営企画、経理など各部署から業務に精通した社員が任命された。

まず、各部門の現状を把握するため、社内基幹業務の分析が約半年かけて行われた。各部門との検討会は優に200回を超え、業務課題やシステム課題を抽出しながら解決に向けた方向性や実現する機能の絞り込みが進められていった。
その結果目指すべきシステムの導入目標を3つに絞り込み、2013年11月末に本番稼働を迎えるまで、経営層から一般社員まで全社員が一丸となる全社プロジェクトとして取組んだ。

  1. 1.生産性の向上
    多重入力の排除、社内情報の見える化等を徹底することで、業務効の率化とスピード化を目指す
  2. 2.マネジメントの強化
    経営管理業務やリスク管理業務に必要なシステム機能を強化することで、管理精度の向上と社内統制の強化を目指す
  3. 3.ワークスタイルの変革
    スマートデバイス等を活用した外部からの情報アクセスによる仕事のやり方の変革を目指す

生産性向上を目指し情報を一元化

イトーピアホームの業務プロセスは、受注活動~社内事業申請~成約~積算作業(見積)~発注~施工~請求~経理計上~アフターメンテナンスに至るまで、1棟の物件情報を各社員が様々な業務から利用する特徴を持つ。一方、社内システムは部署ごとに個別システムが稼動していたため、社内横串の情報把握に多くの労力を要していた。他部署との情報連携ではExcel等のOAツールを活用してきたが、刻々と変わる情報の鮮度を保ち、様々な角度から目的別に情報を整理することは容易ではなかった。

今回の新基幹システムには従来から利用していたKSKが提供する建設業界向けERPパッケージである「住宅マネージャー」をベースに、業務要件に合わせて受注管理機能、与信管理機能、入出金管理機能、会計連携機能、地図連動機能、また他部署の業務状況をリアルタイムで反映する統合化機能等をカスタマイズした。これらの機能により、例えば同じ物件でも他部署が主に利用する情報に画面を切り替えてパソコン上で照会する、あるいは目的別のフォーマットでデータを簡単に取り出すことが簡単にできる仕組みができた。

システム企画室 室長 岩月義明氏
システム企画室 室長 岩月義明氏

同社 システム企画室の室長 岩月義明氏は、「各社員が業務プロセスに沿って、役割に応じた情報更新をタイムリーに行うことで、一般社員から経営層まで同一情報を閲覧可能となる。目的別に同じような情報を何度も入力する必要も無くなり、業務効率面で大きな改善が見られた」と話す。

現在、第二次フェーズとして物件引き渡し後のアフター管理機能を開発している。住宅は完成して顧客に引き渡せば終わりではなく、その後の定期的なメンテナンスなどアフターフォローが非常に重要。営業段階から一気通貫で住宅のライフサイクルを支えるシステム基盤を完成させることが顧客満足度の向上にも寄与すると同社は考えている。

情報の一元化によりガバナンスと
 マネジメント強化も図る!

新基幹システムでは、各事業の業務プロセスの差異を吸収しながらシステムを統一した。案件管理、事業申請、契約管理、請求管理、与信管理、受発注管理、入出金管理、工程管理等の主要業務プロセスがシステム統制のもとで標準化され、会計面でも仕訳発生から計上までを連携させた。
工程(スケジュール)管理では前工程が遅延状態と判断されると、画面や帳票上で各工程の色が変わるアラート機能を装備、また変更履歴管理、権限管理、パスワード管理、アクセスログ管理等の機能強化を図るなど、従来の基幹システムに比べて統制レベルおよび管理レベルを大幅に向上させた。

タブレットはユーザーエクスペリエンスを高めたデザインで
 誰もが簡単操作

タブレットの直感的な操作感がユーザーによる活用を促すと判断したイトーピアホームでは、スマートフォン、タブレットからもアクセスを可能とするタブレット機能を開発した。この機能の設計にあたり、外出先から必要な物件情報をリアルタイム連携で表示・更新できる機能をはじめ、地図情報との連動や強固なセキュリティ対策、さらには画面上のデザインにも強くこだわった。

その理由について営業担当者は次のように説明する。「社員のみならず、お客様が直接手に持って使っていただけることも想定しています。UI(操作画面)は出来るだけシンプルで且つ使いやすい、ユーザフレンドリーなデザインとなるように努めました」

実際、タブレット対応機能のカットオーバー前に実施した社員研修では、ユーザーエクスペリエンスの高いデザインを実現できたことで、参加した社員自らが積極的に操作を試し、自然と使い方を覚えていく姿が目立った。「スマートデバイスの可能性に手応えを感じた」と営業担当者は話す。

今後は資機材業者や施工業者など工事関係者との情報連携の強化にタブレットを活用できないか、更なる業務効率化に向けて検討していく予定とのこと。
その際、OSの違い、OSバージョンの違いといった様々な機種へ対応する必要がある。それらを解決するのが「x-fit」であり、今後も同社にとって期待は大きい。

スマートデバイスの業務利用によりワークスタイルの
 変革にも期待

新基幹システムの稼働により、情報一元化によるすべての案件の見える化が実現し、部門を跨いだ情報連携の強化や業務プロセスの標準化も大きく進みつつある。

更にタブレット対応機能が本番稼働を開始したことで、岩月氏はワークスタイルの変革にも期待を寄せる。「出先から会社に戻らないと最新状況の把握や入力業務ができないといった業務スタイルからの変革を期待しています。例えば、工程の入力作業は工事監督が現場から会社に戻ってくる夕方以降に入力していました。現場(外出先)から入力できれば、営業もすぐに施工状況を把握できますし、工事監督も入力作業を理由にわざわざ会社に戻る必要も無くなります」

また、今後のコミュニケーションの変革にも期待を寄せる。
「打ち合わせや電話でのコミュニケーションは今後とも重要なファクターであることに変わりませんが、共通となる鮮度の高い業務情報を元に社内で意思疎通を図り、判断していくスタイルのほうが、より効果的に業務を進めることができると考えます。時間の使い方や段取りのやり方にも変わると、つまりワークスタイルも変わるのではないかと考えています」

実際に営業部門からは、「お客様との商談の際に、これまでの当社施工事例の写真を見せたり、見学可能な施工例を紹介したりできるようになりました。以前より視覚的に情報をご覧いただけるため、お客様の反応をダイレクトに感じるようになりました。それだけにお客様に満足いただけるためにどうすればよいかを以前より考えるようになりました」と評価の声が届いた。

システムに“魂”を入れていくために必要なこととは

岩月氏は現在、各社員によるシステム活用の徹底を図るため、システム操作の教育だけではなく、業務ルールや役割責任の徹底、効率的な利用方法の紹介などの啓蒙活動に力を入れているという。

「システムという“箱”は完成しましたが、最も肝心なことはそこに“魂”を入れることではないでしょうか。それには、全員が連携しながら最新情報を社内外でタイムリーに入れて、各部署で徹底的に活用することを当たり前だと思う企業文化を醸成することが大切です。部門を跨いだ迅速な情報連携で業務スピードを上げることが会社全体の競争力にもつながるのだ、という共通認識がとても重要なのです」と岩月氏は強調する。

イトーピアホーム様へのインタビューを終えて

今回のプロジェクト及びインタビューを通して我々が感じたのは、イトーピアホーム様では、システムは計画通りに完成させたが、効率的な経営やサービス向上を目指して、まだ入り口に立ったに過ぎず、今後の継続的な取り組みを続けると認識されている点である。
人生で最も高い買い物が住宅であり、その住宅をイトーピアホーム様に託していただける重要さを社員のみなさんが認識していると、今回の開発プロジェクトやインタビューを通して強く感じた。

KSKへタブレットやスマートフォンを業務で利用させたいとの要望は多数いただく。今までノートPCで業務処理を行っていた作業は、今後タブレットに置き換わっていくことは明らかであり、その可能性は多くの企業のシステム部門が感じているが、決断できる企業の経営層やシステム部門は少なく、参考とする事例はほぼ皆無であったはずである。
それだけに今回のイトーピアホーム様において新システムに携わった多くの社員の方々、それを強力に牽引されたシステム企画室はじめコアとなったプロジェクトメンバーの方々、そして全体をバックアップされた経営層への賞賛は惜しまない。

「x-fit」のタブレット・スマートフォン最適化機能を使い、スマートデバイスを業務で利用する事例としては数社あるが、そのシステム導入体制はx-fitとサイト周辺はKSKが担当し、それ以外は大手のSI企業が担当し導入を行った。
今回、基幹システムの「住宅マネージャー」とスマートデバイス最適化ソリューション「x-fit」を連携させ、KSKが導入した実績としては2社目であった。
建設業界のタブレット・スマートフォンの活用は他業種よりも進んでおり、KSKとしてはx-Servlet以来の民生品用携帯電話・スマートフォン向けサイトはもちろんであるが、産業用途のタブレット・スマートフォンの「x-fit」活用にも更に力を入れて行くつもりである。

利用シーンのイメージ

[事例協力]
イトーピアホーム株式会社

イトーピアホーム株式会社
〒103-0027 東京都中央区日本橋2丁目1番地10号
URL: http://www.itohpiahome.co.jp/

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